200Lスピーカーエンクロージャーの作成

オーディオの楽しみ方としてメーカー製品では気に入らないという人にとって自分で作ってしまおうというのも良いものだと思います。 特にスピーカーはこの大きさのものになると価格も高く買ってしまうとおいそれと交換できません。 その点自作になると作り直しが利くしユニット交換という手もある。 しかもネットワークに至っては部品一つ変えただけで音が変わるので面白さという点においても断然おすすめです。 

1. 設計、板の購入

 目標は38センチクラスのウーハーを収容する200Lクラスのバスレフ方式と決め花子ソフトで定尺コンパネクラスの板材を想定し設計しました。 今回はウーハーにJBLの2226Hをヤフオクで安く手に入れたのでこれを使います。 JBLと聞くとよく米松のエンクロージャーを耳にしますが、私はどちらかというとナチュラル系の音が好きなので針葉樹系の合板がちょうど近くのホームセンターで見つけましたのでこれを使うことにしました。 他にも材質の違うものがありましたが手でたたいて音を聴いてこれが一番変な響きが少なく気に入ったので決めました。 厚さは27ミリですから一枚の重さもかなりあり、運搬はお店が軽トラを無料貸し出ししていたので利用させていただきました。
 板の厚さが決まったのでこれに合わせて無駄と効率を考えて図面を引きました。 使用した板は3枚です。 左右の特性をできるだけ均一にする目的で全面バッフル、後面バッフル、側面、上面と同じ板から取り出せるように工夫しています。 同じ材質の板でも個体によって若干ですが響きが違うので考えて組まなければなりません。

2. 板の切り出し

 電動丸ノコで最初に直線部分を切っていきます。 ノコの歯の厚さ分を計算に入れて切り出さないと同じ大きさが出ないので線引きもその部分を考えて行います。 画像は一通り直線切をしたところです。 余った部分は補強用にすべて使うので残すものは切りくず以外何もありません。



3. 穴あけ作業

 スピーカーとホーン、それからアッテネーターを取り付ける穴をあける加工を行います。 丸穴は8ミリ木工ドリルで一か所穴をあけ、そこからジグソーで穴を切っていきます。 四角い穴は対角線上の角に同様の穴をあけてそこからジグソーで切っていきます。 切り出した板も補強用に使います。 今回はホーンにCORALのAH-501という1インチスロートの物を使用します。 後面バッフルにもスピーカー端子を取り付けるための穴をあけました。



4. 前後バッフルへの補強材の取り付け

 先ほど切り出した補強材をそれぞれ木工ボンドで接着していきます。 それぞれ重しを載せて乾くのを待ちます。 バスレフポートは当初共振周波数を少し高めに設定していましたがあとから気に入らなくなり作り直して取り付けました。 自作だと後からやり直しがきくのもいいところです。 各ユニットの取り付けネジ穴は前もってあけて板に食い込むタイプの受けナットを打ち込んでいます。

5. エンクロージャーの組み上げ

 補強材の接着が終わったら前面、後面、上面、側面どうしを組み上げます。 これらが固まったら両側面を付けていきます。 スピーカーのサイズが大きいので1200ミリと900ミリのはたがねで締め上げています。

6. 塗装・搬入

 塗装に入る前に溝や木口をパテで埋め、仕上げに表面を電動サンダーで綺麗に仕上げていきます。 売り物にするわけではではないのでこの辺でいいかなという程度までにしました。 塗装には耐久性と仕上がりの良さでラッカー油性のペイントを使いました。 塗装用ローラーを使い塗り上げていくと綺麗に均一に塗ることができます。 塗装作業の際は汚れてもいいようにブルーシートを敷いた上で実施しました。 画像は十分乾燥させてから部屋に搬入したところです。 この時点で私一人で持てる重さを超えていたので力持ちの息子に上等なステーキを食べさせて手伝ってもらいました。 おかげで無事にスピーカー台の上に乗せることができました。 このサイズになると設置した状態から各ユニットを付けていかないと後から持ち上げられなくなるのでよく考えなければいけません。

7. ネットワークの組付け・ユニットの組付け

 コイルとコンデンサー、配線をしていきます。 コイルは各ユニットとの位置関係と相互のコイルの影響を考えて配置する必要があります。 端子に使ったのは真鍮製の木ねじです。 はんだ付けが必要ですが、しっかりと焼き付けるよう60Wの半田ごてを使いました。 ツイーターにFOSTEXのT-90Aを使い3WAYにしたので上部に箱を作ってネットワークとアッテネーターを仕込んでます。 低域、中域は無酸素銅空芯コイル、高域用は銅箔コイルを使っています。 コンデンサーも種類の違うものを並列に使い音質をコントロールしています。 中域用ドライバーはFOSTEXのD252を使っています。 アルニコマグネットの塊で高域まで特性が伸びていますが7kHzでツイーターとクロスさせておいしいところを使っています。 各ユニットの取り付けねじは全てステンレス製の6ミリ六角ボルトを使って耐腐食と強度を保つようにしました。



8. 調整と鳴らし込み

 当初低域の出方が?だったのでバスレフポートを再設計して共振周波数を21Hzに設定したところ詰まった感じの無い伸びやかな低音が出るようになりました。 ネットワークは計算した通り聴感上いい感じでつながっているようで気になるところはないようです。 鳴らし込んですぐとしばらく経ってからでは音が馴染んでくるのが判ります。 このスピーカーとは長い付き合いになると思いますのでこの先が楽しみでワクワクしているところです。 スピーカー台は自動車のアルミホイールを使っています。 床とは固めの合板の3点支持、スピーカーとの間は梅の木を切ったものをスペーサーにして3点支持しています。 部屋の広さが8.5畳なのでスピーカーからするとぎりぎりの広さです。 居間に置きたいのですが嫁に殺されること必至ですので我慢です。

 さいごにこのスピーカーを作ってつくづく良かったと思っています。 メーカー製では得られないすばらしい音を響かせています。 改めて今まで聴いていたのは何だったのか?というくらいの感じです。 確かに大きな音も出ますが静かな曲を聴いたときにその真価がわかります。 私が求めていた音が今ここにあるといった感じでしょうか、つい時間を忘れて聴き入ってしまいます。 能率がとても高い(97db)のでアンプもいろいろ試してみようかと思案中です。

2019/03/11


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